デカダンス

日記のような、短編のような、詩のような、俺

夏という短編小説

 

 

 夏休みの宿題(課題)を天才的なテキトーさでやり終え、パァっと明るい気分に胸を踊らせながら、柄にもなくネバヤンを聞いて夏を感じる部屋の中。蝉がミンミンと鳴き、扇風機と換気扇がブンブン回る。先週ゴミ出しを忘れてしまったせいで、台所には二週間分のペットボトルや空き缶が散らかっている、壁だけ綺麗な部屋、枕元には分厚い本が置いてある。読み切れるのかな、なんて呑気なことを考える夏()。

 

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 楽しい楽しい72833がやってきた。ラジオ体操の代わりに、寝起きに硬くなったあそこをまぐらかして、かいけつゾロリの代わりにドグラ・マグラを読んで、友達の家で遊ぶ代わりに、一人でツタヤに映画を借りにいって、スーパーで買い物をして、その足でブックオフに立ち読みしにいったら、遠くにいる友達から電話がかかってきた。変わらない声に、どこかほっとして、立ち話もなんですから的なノリで、ベンチに座り込んで以心伝心。30分ほどで切り上げて、豆腐を引っさげクリーミーな歌を口ずさみながら、ママチャリをこいだ。いつのまにか夜になっていって、街は光って、空は藍色に染まっていた。時速26kmで家に帰ってきて、特製麻婆豆腐を胃にかきこみ、ディブィディを見ようかなっと思ったけど、ツタヤの黒い袋がとっても煙草臭くて、気が変わった。一行日記の代わりに、パンツ一丁で苦行日記をしたためながら、平凡な恋に憧れつつ、夢想が無双する夜。夜風がカーテンを揺らす。ビール、ビール、ビール、レモンサワー。

 

 ある女にラインを二、三日置いてから返信されて、無性に腹が立ったことだったり、ブログで読者に媚びを売る奴に対する心の咆哮だったり、バイト先で、バランスボールみたいな身体した女に舐めた口きかれた遣る瀬無さだったり、夏という一種の短編小説の中に入り込み、カタルシスに酔いしれる数億人の普通人に対する、淡く脆い嫉妬心や嫌悪だったり、そういう過去や劣等感に関する加工された憤懣をつらつらと書きなぐろうかなって思ったけど、やめた。今日の俺は気分がいい、のかもしれない。汚い数式と消しカスばかりが机に広がった虚しくも涼しい夏。

 

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