デカダンス

日記のような、短編のような、詩のような、俺

ベンチ外

 書くかどうか、結構迷ったけど、書く。

 

 

 昨日、いつものように夕方からバイトに行った。休日ということもあり、店はかなり混んでいた。オーダーが連続で立て込み続け、伝票が馬鹿みたいに増えて行く。ため息をつきながら、必死で食らいついた。

 

 こういう、クソ忙しい時は、三人でキッチンを回すのが常なのだが、昨日はマネージャーが、何をトチ狂ったのか、お偉いさん(マネージャーの上司?)とこっぴどく言い合いをし始め(何を言い合っていたのかは分からない)、オーダーが立て込み始めた途端に厨房から出て行ってしまった。残された、俺と、社員のおばさんは、二人でなんとかやろうとしたけど、限界があった。程なくして、マネージャーが戻ってきた頃には、もはや、何から手をつけていいのかわからないほどに、オーダが滞っていた。

 

 なんとか、全てのオーダーを片付け終え、ふと一息ついていると、マネージャーが俺に、「食材の補充をしろ」と言ってきた。生返事を返しつつ、補充を始めたのだが、すぐに、マネージャーが俺の方に近寄ってきて、「君、やる気ある?」と一言。「はい」とだけいうと、低い声で、「一応、俺歳上じゃん、なんかさっきから君の態度見てたら、返事が適当だったり、だるそうに動いたり、俺のこと舐めてるようにしか見えないだよね、すごく失礼じゃないか?」、これにも「はい」とだけ答えると、語気を強めて、「おい、俺の目を見て言え」と脅しのようなことを言ってきた。仕方なく目を見てやると、マネージャーは、じゃなくて大森は、思いっきりガンを飛ばし、俺のことを恐怖で、押さえつけようとしてきた。

 

 虚勢でもなんでもなく、ぶっちゃけ前のマネージャーの方が10倍怖かった。何より、そんなチンケな恐喝でなびくような人間に見られていることに腹が立ったし、自分の過失の腹いせというか、八つ当たりとしか思えない、その馬鹿丸出しの言動に俺は静かな憤りを覚えた。確かに、俺の昨日の態度は最低、最悪だったとは思う。だけど、そこは少しぐらい見逃して欲しかった。俺だって、バイトの分際でも必死に働いたんだ。それにお前だって、明らかに悪いじゃねぇか。連休明けで、なまってんのかしらねぇけどよ、テメェだって十分、やる気ねぇじゃねぇか、このクソ陰茎が!

 

 俺は大森の目を見ずに言った。「そんなこと言われるぐらいなら、もう辞めていいですか、10月いっぱいで辞めます」、すると大森は、キョトンとした顔をした後に、小さな声で、「そうしてくれ」と言った。やっぱり、なめられてた。俺みたいな背の低くて無口な男に、なめた態度とられたことが、よほど気に障ったんだろうな。ほんと、かわいそうな男だぜ、裏で、いろんな奴に悪口言われてたり、仕事ができない奴にだけやたらと厳しかったり、お前みたいなやつは人の上に立つ資格も、器もねぇよ、仕事のストレスでうつ病でも発症して、部屋で首でも吊ってさっさと死ね。ムカつくんだよ、バイトはお前の駒じゃねぇんだよ、金さえ払ってれば、なにしても、何言ってもいいと思ってんじゃねぇぞこの無能野郎が! そう言えば、お前、こないだ、従業員の定着化云々とか、働きやすい職場を目指すとか、偉そうにぬかしてやがったな、ザマァ見ろ、自分で墓穴掘ってんじゃねぇか、いくら無能なバイトでも、いるといないじゃ、全然チゲェンだよ、くそったれが。くそったれが、くそったれが。

 

 アルバイトを探してるそこのあなた、ファミレスでは絶対に働くな。本当に割にあわねぇ。もう一度言っとく、ファミレスでは絶対に働くな。

 

 と言いつつ、なんだかんだ、八ヶ月ぐらい働いたのか。思い返せば、嫌なことの連続だった。一難去ってまた一難。本当にそれだった。大嫌いだったデブのマネージャーがいなくなったと思えば、その意思を引き継いでいた吉田先輩と犬猿の仲になり、バイトの日がめちゃくちゃ憂鬱になった。それでも、人間性は鏡という、言葉を信じてやってみたら、なんとか良好な関係に修復できた。やっと、前向きな気持ちで働き始めたのも束の間、これだもんなぁ〜〜〜。もうほんと嫌になっちゃうな〜。また、歪んだは。また社会にねじ曲げられたは。たしか、緑色の髪の毛の男が言っていたよ「災難ってもんは畳み掛けるのが世の常」だって、俺はそんなかっこいいこと言えねぇ。「災難ってもんはできりゃあ最小限に留めて欲しいってのが、本の音」

 

 今のところ不安はあるけど、後悔はない。また派遣バイトに降格か。

 

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