デカダンス

日記のような、短編のような、詩のような、俺

散歩

 春からずっとハンガーにかけっぱなしだったお気に入りのベージュのジャケットを着込んで、地面に落ちた銀杏を踏み潰しながら、雨で錆びついたママチャリを漕ぐ。まだ一度も行ったことがない中華屋の前を通り過ぎて、「師走の雨の匂いと〜」なんて口ずさむ。頬をかすめて通り過ぎていく風と、いかにも頭の悪そうなJKの視線はちょっとだけ冷たい。日が暮れるの早くなったなぁ、まだ五時前なのに空はうっすらと暗い。カゴの中では、36巻が揺れている。

 

 こないだ久しぶりに会った笹尾に、

「お前、なんか変わったな。昔はそんな奴じゃなかったぞ。ムカつくわ」

と言われた。素直に喜ぶ気にもなれず、かと言って怒る気にもなれず、あぁ変わっちゃったのかぁ俺、と他人事のように一瞬放心したが、すぐに、いや何も変わってないでしょって思った。変わりたい変わりたいって、駄々こねてた時もあった。でも、それってたぶん変わりたかったんじゃなくて、負けを認めたくなかっただけなんだろうな。いいじゃないか負けっぱなしでも、勝ったり負けたりするよりかはよっぽど楽なんだから。

 

 ヒカキンの動画を見たり、コンビニの廃棄ばかり食っているせいか、笹尾は理解力や頭の回転、社会性など、その他諸々の人間としてのあらゆる能力が落ちているように見えた。「荒んでる」と何度も言っていた。でも、君は何も変わってないね。安心したよ。喋った時に感じる、あのダメな自分が君の奥で共鳴する感じ、メトロノームの奴隷たちには出せない、不格好だけど、嘘のない音、一緒にbaby baby演奏できて楽しかったわ。自分とお前のためだけに編曲した。って言えたらいいな。

 

 

 三日前ぐらいに読者登録してくれた、会ったことも見たこともない女の子。最低限の清潔感がないと受け付けないんだってさ、自慰やら膣やらと書きまくってるこの雑記のどこに清潔感があると言うのだろうか。不思議でならない。書いてる人間も清潔感とはかけ離れた場所にいる。右手だけ爪が長いし、肌は汚いし、無造作系と偽って、髪はボサボサでセットしてないし、服はダセェし、気が向かないと髭は剃らねぇし、煙草も吸ってるし、汗っかきで脇は臭いし、精神はいつも退廃と男尊女卑に憧れている。だけど、バンドが大好きっていうのは同じだね。そこだけ合ってりゃあ他が何もかすってなくてもいいような気がするのは僕だけでしょうか。敬具。

 

 その子のブログを最近読んでるんだけど、飾らない等身大の女の子がそこにいて、悩み怒りながらも、何とか笑いながら生きているのは、みんな一緒なんだなぁとコーンポタージュみたいにしみじみ。今度ライブに出刃包丁持っていくんで、見かけたら声かけてね。(昼寝と冗談を排斥する世知辛い世の中に啖呵を切って)

 

 

 今日受けた哲学の授業で、「人間の心はタブララサ(白紙)のようなものである、そこに文字を書き込むのは経験である」と習った。確かに白紙かもしれないけど、そこに書き込まれるのは文字じゃないだろう。経験から得るものなんて、もっとグチャグチャに歪んでねじれた理解できない芸術作品みたいなものだろうな。そういうものを綺麗な言葉にできたらめっちゃカッコイイよね。なぁロック?

 

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クリームシャープセカンドは3番と4番が好き。 ハンドは9番。